私は、25歳~28歳の3年間、社内SEの仕事をしていました。
元々ISPでネットワークの仕事をしていたのですが、いろいろ縁があってベンチャーの社内SEとして働くことになったのです。
どういった企業かをここで記載してしまうと、すぐにバレてしまうので伏せますが、外資系でお客さんがいっぱい来て、社員は200人、アルバイトが1000人くらいの会社でした。
ちなみに社内SEは私一人でした。誰もいない状況で吐く寸前だったと思います。
社内SEの仕事内容
やることは会社によってピンきりです。
私が働いていた会社は、ほとんどの人間が文系、営業系、企画系の部署だったので、「とにかく困ったら社内SEに頼んじゃえ~」みたいな雰囲気が漂っていましたが。
社内で使うシステム全般業務
企業は様々なシステムを利用していろんなことを効率化しています。人がやっていたことをコンピューターがやってくれたら、コスト削減にもなるしね。
経理は会計システム、人事はアルバイトや社員の管理システム、教育部はアルバイトの教育管理システム、営業は顧客管理のシステム・・などです。
これらのシステムについて、様々な企業のシステム選定を行うのが大事なお仕事です。
ただし、そのシステムを使うのは各部署の人間ですから、彼らの業務内容をフロー化できるまで徹底して知る必要があります。
知らないとどのシステムがいいか分からないですからね。
要は各部署の仕事の流れを細かく理解し、どの業務が効率化(つまりシステム化)できるか提案したり話し合って、システム化していくというのが主な仕事です。
つまり、社内で唯一、営業、企画、経理、人事などが何の仕事をどういう業務フローでやっているのか知っているのが社内SEです。
世の中に使えるシステムが無い場合
前項の通り、社内で使うシステムは外部の物を選定し購入することが多いのですが、業務形態が特殊すぎたり、金額が見合わない場合は自社で作ることがあります。
私の場合は、アルバイトの労働形態等があまりにも特殊だったので、自社開発が一番コストがかからないということになり私が作りました。
ER図から設計して、サーバー用意してSQLの勉強をしながら、データーベース作って、手順書作って・・・思い出しただけでも気が狂いそう。
元々そのような仕事をしたことが無いので、とにかく毎日勉強していたし、SEをしている友人に教えてもらったりしながら作りました。
持つべきものは人脈!!笑
一度作ってしまうと、こりゃまあ楽しくて『この機能加えて』とか言われるとホイホイできちゃう。他のシステムもある程度簡単に作れるくらいにはなりました。
ネットワークやサーバーの保守
社内ネットワークについてはきちんと理解しておく必要があります。
どんなネットワーク機器を使っていて、どんな設定が入っているのか把握します。
そんなにトラブルが起きることはありませんが、社員がHUBを使ってループさせたりするので、その時は出番です。
あとはLANケーブルの爪が折れたら直したり。
サーバーについては10台ほどあったので日々のメンテナンスを欠かさず行っていました。
ヘルプデスク
エクセルやAccessの使い方、データーの集計の仕方が分からない、ネットにつながらない、メールが届かない、パソコンが開かない、TV会議システムの使い方が分からない、ファイルサーバーのファイルを消してしまった・・・etc
どんだけ~
毎日毎日、電話が鳴りっぱなしでした。
自分の仕事に集中していても電話が鳴る鳴る。
あげくの果てにPHSまで持たされて、24時間拘束状態(笑)
でも感謝されるのはこの時なんです。うれしくてたまりませんよ。
社内のPC研修
社内PC研修は、まさかの私が提案して行いました。
というのも、あまりにもPCに慣れていない人が多すぎたので、1人1人に説明していると時間が無駄、自分の仕事が全然終わらなかったんです。
なので私が定時後にパソコン教室を開きました。一応残業代はもらってます。
内容は以下の通り。
・Accessの初級編
・Accessの使い方クエリ編
・エクセルのピポットテーブル練習会
・エクセルの関数初級編と、応用編
・VBAまでやっちゃう?編
私は人前で話すのも苦手だし、昔は朝の朝礼の一言でも赤面する人間でしたが、とにかく分かてほしくて必死だったので、文系の人でも分かるように図にしたりパズルにしたりして教えました。
ベンチャー企業なのでやる気のある人間しかいなかったのが幸いで、みなさん率先して勉強をしに来てくれました。
今までAccessとエクセルの違いが分からないと言っていた人が、クエリを組んで自分が欲しいデータを抽出できるまでになった時は、涙が出るほどうれしかったです。
しかも、社員からかなり好評だったので、アルバイトや派遣の方も勉強したい方はウェルカム状態にまで発展し、それから2年間毎週続けました。
嬉しかったことは、「今まで1日かけてやっていた集計作業が関数やピポッドテーブルで10分で終わるなんて思わなかった」とたくさんの人に言われたことです。
強者はExcelでVBAを組み軽く自動化まで出来るようになってくれました。
私が報われた瞬間で、あの達成感は今でも忘れられません。
社内SEの仕事内容は楽なのか?
システムエンジニア(本物SE)から見れば、社内SEは楽な仕事だと思われています。
確かにそうだと思います。
その理由を以下に2点記載します。
楽な理由その1
本物SEは、顧客が社外のことが多いですが、社内SEの顧客は社内の身内です。
ミスしても、そんな大問題にまで発展することはないし、それだけでもストレスは軽減されるのではないでしょうか?
社内SEも大変だと言う方もいるかもしれませんが、それでも同じ会社の人間相手は気持ち的にはラクだし、それは間違いないです。
楽な理由その2
社内SEは、本物SEに比べて労働時間が短い場合が多いと思います。
私はこの仕事を辞めた後、再度ネットワークエンジニアとして大手企業に転職したのですが、その企業内で多くの本物SEと仕事をしました。
しかもプロジェクト内容は、金融系や公共系の大きいものばかり。
土日や深夜にネットワークメンテナンスとかでグループ会社や支社に行くと、うじゃうじゃ居ますよ、徹夜&休みなしのSEたちが(笑)
冷ピタをして、ポテチをぼりぼり食べながらキーボードをカタカタと。
大手でもこんな状態なんです。
また、私の親友も大手で金融SEをしていますが、嫌なお客さんに当たって3日間物が食べれなかったと言っていましたし。
同じ『SE』という言葉が付いていますが仕事もストレスも全然違うと思います。
本物のSEは技術もスペシャリストで開発軍団ですが、社内SEは技術は劣るけどユーザーに身近な立場だと思います。
社内SEの仕事で一番辛いこと
この仕事の辛いことは、仲間が少ないことと、キャリアアップが難しい点です。
つまり、評価され辛いのです。
私の場合はラッキーなことにそれなりの評価をしていただいていて、給与も20代の女子にしては多かったと思います。外資でベンチャーだったので、残業含めて40万超えたこともあります。(ただしボーナス無し)
社内SEというのは、物理的にに会社に利益を生み出す仕事ではありません。
実際にお客さん相手に利益を上げているのは、営業や企画なわけです。なので、その部署の社員の方が昇進等が速い可能性があります。
要は仕事内容が複雑かつ、利益に結びついているのか判断し辛く、他部署から見たら難しいことをしていてそれがどのレベルなのか分からないので、評価し辛いのです。
社内SEの業務で成功するコツ
まずはITパスポートは取得しておきましょう。基本情報も持っていればなおよしです。応用技術者まで持っているなら開発側のSEになってください。もったいないです。
以下の本は、文系でITパスポートを取得した友人が『分かりやすかった』と言っていた本です。有名な本ですね。絵がたくさん描かれていて、文系の人にも理解しやすい内容です。
あとは、いろんなことを同時進行でやらないといけないし、コミュニケーションが取れて、社員に好かれないとやっていけないと思います。
あとは偉そうにしないことが重要です。
この仕事をしている人はプライドが高く無駄に偉そうにしている人も多いですが、そんな態度とってたら仕事の相談もしてもらえず、結果的にシステムの改善点もわかりません。
システムを使って、『営業、企画、総務』という本来の業務に注力する時間を増やしてあげることが最も重要な社内SEの仕事だと私は思います。
パソコンスキルがない相手をバカにしたり、教えることをめんどくさがるような人間には社内SEは絶対に務まりません。
また、営業さん達から「すごいね、パソコン詳しいし頭いいね」とよく言われるのですが、そういう時は「私はパソコンの相手はできてもお客さんの相手はできませんから」といつも営業を立てるように心がけました。
すると、なぜか営業の飲み会まで誘われるようになり、給湯室での立ち話や相談に乗ることも増え、そのうち仕事もスムーズになり、結果どれだけ業務がシステムで効率化できたことか。
相手の仕事を認めて、他部署の人たちの業務を尊敬することが何より大切だと学びました
以上です。
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